文部科学省「初等教育資料」の資料
〇吉岡町と私の紹介
群馬県のほぼ中央部にあり、関越自動車道駒寄パーキングがあるのが吉岡町です。その駒寄パーキングを中心に大規模商業施設が建ち並び、更に広がりを見せている活気ある地域です。町には吉岡中学校、明治小学校と駒寄小学校があり、どの学校も大規模校です。教育委員会との関係性が良く、3校ですので小回りがきくところがメリットです。
その小回りがきく吉岡町に、私は通算19年間在籍しています。以下、略歴です。
H29~H30 吉岡中学校教頭
H31~R2 吉岡町教育委員会事務局学校教育室長
R3~4 明治小学校長
R5~ 駒寄小学校長
最も経験年数が多い「分掌」は情報主任。GIGAスクール構想のために室長になったわけではなく、室長になったらGIGAとコロナが飛び込んできたという構図です。山口教育長の元で、ICT環境整備やHiBALIプランに携わりました。
0 「委ねる授業」とは
「委ねる授業」は通称です。私が知る限り明確な定義はありません。むしろ、「委ねる」授業…の表記が正しいのかもしれません。
これまでもどんな授業でも、解き方を考えたり、説明できるようにしたり、自分の考えを書いたりと、少なからず委ねる時間は取っていたはずです。それが、一人一台端末という「高機能文房具」の台頭により、導入や追求、まとめのどの段階でも質の高い委ねる授業が可能となったのです。これまで子どもたちに教え込みながらも、主体性を高めるという命題、なおかつ学力も向上させるという三律背反でモヤモヤしていた授業から脱却して、子ども自身が学ぶことで、図らずも学力や非認知能力が上がってしまう授業へ転換していきませんか。
先生方は子どもたちに主体性を求めているのですから、好条件が整った今、自己の授業改革に主体的になるべきです。その決意が新しい教育へのスタート地点になります。
下の図は令和6年度に委ねる授業を推進するために本校研修部で作成したプレゼンの一部です。
本校の委ねる教育はここから始まりました。ポイントは「選択肢と自己決定」今年度は「教科の見方・考え方」です。殊に2学期当初の静岡県吉田町の視察を経て、そこからたくさんの先生方がチャレンジし、子どもたちが45分間、自らの意思で集中して学ぶ姿を見せてもらいました。何度見ても感動を覚えます。
そもそも、私が初めて「委ねる」授業を間近で観たのは令和4年度の明治小でした。町教委が実施した先進校視察に、運悪く参加できなかった理科専科のK氏が報告書に食いつき、見よう見まねで始めた「委ねる」授業。私は敬意を込めて「ほったらかし授業」と命名しました。「教え込まれる授業」を受けてきた第三者の既成概念からは、そうにしかみえないからです。
その頃はまだ、授業開始終了のあいさつはありました。子どもたちにとって何よりも「自分が学ぶ授業において、ストレスなく満足いく成果を導き出すには…」というコンセプトにこだわり、とことん子どもたちと話し合いながら日々改革していました。ちょっと目を離すと、大型モニターに提示される項目が変わっていたり、班の担当のネーミングが学んでいる者にしかわからない不思議な単語になっていたり、ヒーリングミュージックがBGMで流れていたり…。そうした「自分たちで作り上げた授業のカタチ」も高度なモチベーションを維持するための有効な手段だったと振り返ります。この授業で不変だったのは、授業での教師の役割。常に誰かの横に座って、ボソボソと対話。このボソボソは、完全個別最適。これこそが、「委ねる」の「神髄」であり、「不可欠」であり、個々のパフォーマンスを最大限に導き出す「源」です。「委ねる」授業のカタチは真似だけなら誰でもできます。しかも「教えないボソボソ」は正にファシリテート。是非とも発想を転換して、チャレンジすることをお勧めします。
以下に、K氏が整理した資料や私とのチャットのやりとりなどをまとめました。たくさんの「子どもが主語になる授業」のヒントが隠れています。
(文責:山崎)
Kファイル 「委ねる授業」の奥義 (この書体は山﨑)
1 環境改革= 理科室内の心理的安全性、安心の確保
・授業のあいさつをやめたことで、意欲のある子が早くに理科室に来て学びはじめました。それに影響を受けた子が連鎖的に出てきて、教室全体の雰囲気につながりました。
2 自学自習の原則=自己決定を繰り返す
・児童は、本時の「学習問題」を解決するのに最適な又は自分にあった「学び方(実験、観察、インターネット、動画、図書、学習アプリ 等)」を毎時間自ら選択することで、「何を学ぶか」だけでなく「どう学ぶか」が身につきました。
・「学び方」を選択する中で、毎時間YouTube視聴のみで学ぶ子も出てきました...(それでも、単元テストは毎回満点)。当時、文部科学省の平井先生に相談したところ、「自分の特性にあった方法を1年かけて見つけたので、その選択を尊重したいが、できれば体験活動(実験や観察)もできるよう、当該児童と対話を繰り返していってほしい」と助言をいただきました。
・それぞれの「学び方」で学んでいても、常に授業中Googleチャットでつながることで必要感のある協働的な学びが生まれました。
・私が指示せず、「学び方」を児童自ら決めることで、学習内容で理解できないことや分からないことを人のせいにしなくなりました。
3 究極の自己決定から覚醒へ=「やらない」という選択も認める ⇐ これは要因かどうかわかりませんが...
・やる気がない、起きない子に無理矢理取り組ませることはせず、本人の内面から湧き出る「学びたい!」とスイッチが入るまで毎時間も対話を繰り返し、何日でも待ちました。
4 授業改革①=一斉指示や指導をなくした
・児童が自らの実態や特性に応じて学べるようになりました。
・授業内で前年の内容を学び直しても良いですし、理科が得意な児童はとことん突き抜けて、高校や大学の内容を学んでいました。
授業改革②=エラー&ラーンを繰り返した(下図)
・2時間で1つの「学習問題」を解決できるよう単元計画を組んだことで、1時間目に選択した「学び方」でうまくいかなくても、2時間目に新たな「学び方」を選択できました
・1時間目に実験等して、その結果を検証するために2時間目にインターネット等で調査をすることで、学びが深まりました。
5 要の要の要=児童とのやり取りは疑問形で
・児童とのやり取りに「断定形」や「命令形」は使わず、「疑問形」でやり取りをしたことで、児童が常に自分で考えたり決めたりする習慣をつけました。
・児童が自分で調べたら分かる質問には答えないことを徹底した。
・上記2点を徹底したことで、CRTの論理的・批判的思考力が大幅に伸びました(学年平均122、高いクラスは130以上)。
6 自分の発掘=「振り返り」の充実
・振り返りの時間を毎時間10分確保しました。
・2にもつながりますが、児童は毎時間「今日の自分」をメタ認知し、俯瞰的に自分を見る習慣をつけることで自己調整につながり、私がやる気が起きない児童に対して無理矢理取り組ませる必要がなくなりました。
7 委ねる授業と学力・非認知能力との関連=向上するのか?
・令和5年度CRTで全国平均を上回り、これまでより知識6ポイン ト、思考14ポイント、態度9ポイント向上
・令和6年度CRTで全国平均を上回り、これまでより知識14ポイン ト、思考23ポイント、態度14ポイント向上
※集団の到達度…A判定棒グラフが上端に届く勢い。
※資質・能力等に関する集計…チャート図は空白無し。
〇当時の指導主事所見…好成績の要因について
・得た知識をもとにした議論
・個々へのゆさぶり
・他者の考えに対する同意や異見
・言語活動を大切にした入力
※主体的に取り組む態度に関する集計…チャート図が一カ所だけ細く空白が見える状態。つまりほとんど埋まっている状態。
〇当時の指導主事所見…好成績の要因について
・個別のめあてと振り返り
・振り返りは内容と学び方の視点で記述
・めあても振り返りも一人一人違っている
8 おまけ=チャットのQ&A
①Q:令和4年度にアプリを使って協働、共有が容易にできて、スタサプのおかげで個別最適も保証されて、中学のスタサプもやってる子がいてって、主体性がだいぶ高まったよね。これが新しい教育だってあのとき思ってたじゃん?
授業をしていて、あのときの主体性と委ねる授業の主体性ってどう違う?
①A:なつかしいですね!たしかに国語のCRT(思考・判断・表現)が大幅に上がりましたね。
ただ、あの時は、子どものやらされてる感が強かったように思います。
同学年スタッフのY教諭が休暇だったので、私が自分のクラスから他の3クラスに授業を配信してましたが、教員がいるときよりも静かに黙々と取り組んでいたように思います。あれは何でなんですかね??
漢字の導入も私1人ではできないので、ミライシードの漢字指なぞりを自分でやってもらって導入としてました。
もしかしたら、こっちが丁寧に教えないので、子どもたちが自ら学ぶことの必要感を感じたのかもしれません。あくまでも、結果ですが。
スタサプの活用も大きかったですね。毎週末テキストを印刷してそれを週末に取り組ませたので、かなりの負荷だったかと思いますが、明らかに私が教えるより『読解力』や『設問の解き方』は身につきました。こちらもやってみての結果論ですが笑。
適当に動画を視聴させないため、月曜の朝に動画の内容から出題するスタサプクイズも効果的でした。子どもたちは、クイズがあるからちゃんと見なきゃみたいな雰囲気でした。
これらを子どもが自ら必要感を感じて取り組めれば効果的なんだろうなーと思います。
②Q:そもそも、児童との関わりやあいさつなしは変わってないんだろ?変えてないものと変わってきたものをおしえてくれるかな。
②A:そうですね笑
あの時は、完全に教師主導で私が管理してましたね。
そうですね。
面白いもので、挨拶をやめたら理科室に子どもがはやく集まるようになりました。
はやく理科を勉強したい子に気持ちが乗らない子が引っ張られる感じですね。
全員いっせーのせで授業を始めるよりも、やりたい子からドンドン始めたほうが結果児童のエージェンシーは高まるって分かりました。
いい姿勢で全員が前向いて始めるって私の自己満足だったのかも?って思い始めてます。
関わり方も明らかに違いますね。
担任をしていた頃は、全体指示が多かったです。
教務になってからは支援を中心に、何しろ子どものガンバりを褒めまくってました。
ここ最近は褒めることも減ってきて、子どもとのやり取りは全て疑問形でしています。
『どうしたの?』『どうしたいの?』『この実験の見方・考え方は?』等々
疑問形でやりとりをすることで、子どもが全て自分で決定します。
自己決定した子どもは人のせいにしないな〜と最近感じてます。
今までの自分はサービス過剰で手厚くしていたため、相対的に手厚い先生と何もしてくれない先生を生み出してましたね。
他にも変えたことがあるので、リストアップしてみます。
変えてないものと変わってきたものを整理してみました。
○ 変えてないもの
・これが思いつかないんですよね...
・子どもより先に教室(理科室)にいることぐらいですかね...。
○ 変わってきたもの
・児童との接し方(基本疑問形で)
・一斉指示をしない
・授業前後のあいさつをやめた
・授業内でタイマーを使わなくなった
・学び方、学ぶ場所を児童が選択
・児童が「トイレ行っていいですか?」私に伝えること
・理科室への行き来を並んでくること
・協働的な学びが中心⇒完全に個別最適に
これらはどれも、変えることが目的だったのではなく、授業改善を進めていく中で、児童と相談してなくしたり、自然と変わっていったりしたものですね。
ここ最近は、学びが青天井になってしまって、その単元で働かせたい見方・考え方がまったく働いていない児童が見られるようになったので、
・『単元で働かせたい見方・考え方』『ルーブリック』『単元計画』等を予め提示していますね。
まとまらない文章になってしまいました。すいません💦
<翌日>
今日もう少し考えてみたんですけど、結局
・授業内の「規律」や「ルール」をすべてなくした
ことが子どもの心理的安全につながったといいますか、
主体的な学びにつながったんではないかという結論にいたりました。
いままでクラスに「秩序」がほしくて、授業の「規律」や「ルール」を4月の最初の授業でスライドを使いながらタラタラ話してたんですよね。
でも、ここ何年かで、1人1人の子どもがやることが明確で先が見通せれば、クラスに「規律」や「ルール」がなくても自然と「秩序」は生まれました。
昨日リストアップしたもののほとんども、
1人1人の子どもがやることが明確で先が見通せたことで、
自然となくなっていった気がします。
全て「規律」や「ルール」をなくしたことにつながりますね。
ただ、「規律」や「ルール」をなくした時って、授業がぐちゃぐちゃにならないかな?とか外から見た人から何か言われるかな?
すんごく勇気がったんですけど、その時に支えになったのが山﨑さんの学級経営のお話ですね。
以前山﨑さんがおっしゃってた、山﨑さんのクラスは基本子どもにゆだねるので、最初は落ち着かないけど3学期にぐらいになると自治能力が高まって自然と落ち着いてくるっていうお話です。
このお話があったから「規律」や「ルール」をなくす一歩を踏み出せたといっても過言ではないですね。
③Q:ちなみに、委ねるが徹底されると個別最適はMAXだけど、協働はどうしてる?
③A:山﨑先生がいらっしゃった時は、特研に行かせていただいてたので、その研究も兼ねて協働的な学びに力を入れてました。
●『予想』⇒『友達からのコメント(必ず)』⇒『学ぶが深まる』
●『学び方(学ぶ手段)』は"班"で選択
といったように意図的に協働的な学びの場面を設けていました。
現在は、完全に個別の学びが中心です。ただ、スプレッドシートを活用することで、クラス全員の学び方が即時共有でき、同じ学び方を選択した子で集まったり、
自分と異なる学び方の子のところに行って情報を得たりするなど自然と協働的な学びが生まれています。
また、チャットが常に動いているので、個別で学んでいるようで実はクラス全員と常につながり、学びが深まっています。
グループでやらせてた時、ずっと違和感を感じてたんですよね。無理矢理協働的な学びをこっちがつくってあげてた感じで。
やはり子どもが「必要感」を感じた時ってスイッチが入る感じがしますし、学びが深まっているように思います。ここ最近は特に「必要感」って大事だなーと感じています。
④Q:挑戦しようとして陥りがちなミスはどんなこと?
④A:おそらく、子どもに預けることを「目的」にしちゃうと本当意味の「ほったらかし」になってしまうでしょうね。きっと外からみると「規律がない」「無法地帯」って指摘を受けることになるでしょう。
9 2月に実施された公開授業の感想集(チャットより)
K氏による公開授業案内
【日時】2月16日 2校時 09:20-10:05
【学年】6年
【教科】理科
【単元】「電気と私たちのくらし」
T氏より
授業公開ありがとうございました。いつも公開ありがとうございます。6年生の子どもたちが、既習事項をもとに深い学びに向かっていました。
K先生が、子供一人一人との対話と共有されたデータから、細かく見取り、個別の支援を行っていました。子どもたちが1単位時間内であれだけの思考ができるのですね。対面とデジタルの両方が必要であることを再認識しました。とにかく、子供との対話量が多い!!
今回は、授業者と授業後に議論ができたので、その内容も紹介します。
①知識の定着を(子供が)確認する場
▶演習セットがおすすめ、子供自身も先生も自分の課題がリアルタイムでわかる。
②深い学びにつなげる
▶先生がグリップをしっかり握り、一斉指導の中で理科の「見方・考え方」のうち「考え方」のところに迫りたい。
③自由進度学習
▶「自由進度学習」という言葉が一人歩きしている。子供が自己決定を繰り返しながら、問いを立て、思考を重点に置いている授業であり、子どもたちを自由にさせてるわけではない。委ねる=自由進度学習ではない 私もその通りだと思います!
④見方・考え方
▶見方・考え方を働かせることについて、本時で子供がどのように思考すればよいのか、本時の子供の姿ではどうであったか………一斉指導の中で、見方・考え方の視点を提示するのもよいかもしれない(具体的に議論しました。例えば、センサーに疑問をもった子供、作った電気が風になると考えた子供などの例から)
学ばせていただきました。ありがとうございました。
S氏より
K先生の授業公開に参加しました、駒小のSです。
K先生の見取り力の高さや、問い返しによる児童への大量の声がけ、児童が主体的に学べる場作りが素晴らしく、大変勉強になりました。
今回の授業では、児童が探究のサイクルにおける「情報収集」をする姿が多く見られ、児童が自ら決めた手段で時に友達と協働しながら多様な学び方で課題解決にむけて意欲的に活動していました。
今後の「整理分析」「まとめ表現」に、今日集めた知識がどう生かされていくのかが気になり、単元全ての時間を見たくなりました。
児童が教科の見方考え方を働かせながら学ぶ思考力を育てるためには、情報の「整理分析」の過程が大事になると、先日平井先生がおっしゃっていました。そこを充実させるには、児童が解決したくなる単元を貫く問いの設定が鍵の1つであるような気がします。
実は私も昨年度外国語専科をしていた時、児童がアウトプットしたくなるような魅力的なゴール地点の設定についてかなり悩みましたが、ゴールが魅力的だと児童の授業中の学び方が変わるなという実感はありました。試行錯誤中です。
一斉授業と児童に委ねる授業、どちらの方法の授業にも「単元で考えていく。」ということが大前提にあるのは同じと気づく機会になりました。
また、別の観点になりますが、自由進度で児童が学んでいく際、自分の理解度や現在地がわかるもの(ルーブリックや、わかるのレベルを示した表など?具体的に示せずすみません。)があると、より児童の学び方が豊かになるかもしれないと思いました。
K先生、授業を公開してくださり、ありがとうございました。
10 資料
(1)単元の最初の時間から授業で提示する資料
(2)群馬県藤岡市の教職員向け研修講師で作成したプレゼン
同日、2会場で開催
(3)同様に藤岡市で研修講師を受けた別の講師のプレゼン
11 結びに
「ICT活用で学力が下がる!?」という講演を拝聴しました。海外のIT教育先進国の失敗例や全国学力学習状況調査(2022)から長
時間利用で学力が下がるといった傾向もデータとしてはあります。
前者については、実際に先進国西洋諸国のICT先進国では学 力が下がり、方針を転換する国も出ています。そこには使わせ方が間
違っていたり、人件費削減のためオンライン授業漬けでリアルな対話がなかったり、裕福な家庭では持たせるがそうでない家庭は放置
されていたりと、社会問題に発展している現実があります。
一方で日本はそうはならないだろうという期待や自信もあります。本校には令和5年度から2年続けて、ルワンダの教育局や教員養
成学校の職員が視察に訪れました。なぜ、地理的にも近い欧州に行かないのかという問いに、欧州には求めている使い方がないとのこ
と。欧州各国のIT教育は綿密に調査した上での視察だったそうです。2年目には教員養成学校の先生方が理数系の授業を視察しまし
た。大絶賛でした。日本の…というより、吉岡町の「委ねる」授業が国の未来を託すのに相当である…と評価されたのではないかと思い
本校職員やっています。
一方で、利用時間の問題については、本校では高学年が教科担任制になり、ICT活用の時間が増加しましたが、例えば国語では「知識技能」が伸びた反面、「構成を考えて書く」ことは下がっているなど、全体的には昨年度並みですが、細部を見ると乱高下が気になります。今年度はしっかり検証すべきと考えています。
こちらは、前段の講演会で知り合った高校の先生からのメールです。吉岡町3校で授業参観や説明を受けてお帰りになったあとのものです。
昨日はお忙しい中、3校の「児童生徒にゆだねた授業」を見学させていただき、誠にありがとうございました。
先生方が、児童生徒が主体的に授業に取り組めるように、ファシリテーターとして、授業のめあてを示し児童生徒が学びたいスタイルで学ぶことをサポートしていました。また、学びを深めるツールとして、フォームやスプレッドシート、スライド、Figjam等を活用し、その教科だけではなく社会を意識したり、他教科とのつながりを発見したり、生き生きと学びに向かう姿を拝見し、大変感銘を受けました。
また、児童の皆さんが、互いに教え合い、学びを深めようとする主体的な姿勢は、3校の先生方の日々のご指導の賜物と深く感じ入りました。
さらに、教員の方々が児童生徒に授業を委ね、主体的な学びを促す授業スタイルは、これからの教育において非常に重要な視点であると改めて認識いたしました。この取り組みを本校の授業でも実施して「主体的に学び、卒業後も自身の学びを重ねていく」生徒を育成していきます。
「受験の在り方が変わらないかぎり、授業のカタチは変えられない…」という理論はK氏の実践から成立しないことは明白です。「演習を積み重ねる先生には点数では勝てない…」と中学校の先駆者は言います。果たして大学や社会に降り立ったときにどうでしょうか。そこには、前出の高校の先生がつぶやいていた「高校生は主張ができない。自己紹介をするにも自分が何者なのかも言えない。それをどうにかすることから始めている。」という言葉が物語っていると感じます。たかが小学校の実践と言わず、真摯に受け止め高校にも広げようとしてくれていることに感謝と敬意を表します。先日、令和7年度のリーディングDXスクールキックオフ会議に三校の管理職と指導主事で参加しました。各県のリーディングDX委託事業校を中心に新しい授業の必要性やカタチが徐々に伝播しています。義務教育校から高校、もしくはその逆の縦の伝播によって、どの校種、どの地域でもほんとうの意味での「子どもが主語となる授業」になることを願っています。
吉岡町では優れた先駆者のおかげで「委ねる」授業の必要性が浮き彫りになり、各校で模範を示してくれています。しかし、K氏のそれを完全に真似することは不可能です。K氏ではないので。先生方一人一人の個性や教育観からが生み出される「委ねる」授業になるでしょう。ここまで記してきた中にちりばめられている「Must」を先生方なりに精査し、児童理解を背景に適切に位置づけ、単元全体の構成を意識し、委ねることで、自然と共有や対話、協働が産まれ、学力やら非認知能力が高まることと信じています。まずは産みの楽しみへの第一歩を。
HiBALIプラン
〇吉岡町HiBALIプランとは…
Hill-town Basis toward the Adaptive Learning Innovation
「主体的・対話的で深い学び改革」に向けた丘の手タウン吉岡町基本構想」
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吉岡町立学校の教育の礎となるプランです。
☆これまでのHiBALI☆
HiBALI1.0…R2までのICT環境整備。一人一台端末やWi-Fi環境、大型モニタ、各種学習アプリなどの整備。
HiBALI2.0…R1のコロナ禍から始まった、教職員のICT指導力向上とアプリの精査。,R2、R3と飛躍的に向上。
HiBALI2.1…R4ICTにおけるアプリや指導の定着。
◎県の第4次教育振興計画が策定されました。「ウェルビーイング」。字面を追うとモヤモヤしますが、「多様な個人がそれぞれの幸せや生きがいを感じること。身体的・精神的・社会的に良い状況にあること。将来にわたる持続的幸福。」ですので、本校の児童を育てる上で保護者の皆さんと共有して歩んでいくのにはピッタリのテーマかと思います。
☆3年目のリーディングDX認定校。県内では本校と吉中のみです。「子供が主語になる授業」は、簡単に言えば「教え込みは最小限にして、自ら選択し学び取る授業」ということです。本校の職員はそれを意識して授業を構築しています。今年の秋には教職員向けの公開授業を実施します。
最終的には、受験して目標を見失うのではなく、好きなこと・得意なことをどんどん増やして自己確立の基盤をつくり、大人になっても学び続け自己肯定感を高め続けられる人づくりをしていきたいです。大学のカタチも受験のカタチも変わりつつあります。小学生はとても柔軟。どんな授業でも柔軟に対応しています。大人が意識を変えなければいけないときです。がんばって新しい教育についていっしょに学んでいきましょう。20250423
HiBALI ~新しい教育への挑戦~ Since2023
〇事例を紹介しています。ぜひご覧ください。
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